2022年W杯に採用された「水面に浮かぶ家」が、オシャレすぎる!
大洪水でも大丈夫、水に浮く家「Floating House」
土地が足りない! サンフランシスコの”水に浮かぶ家”は建設費5500万円、のぞいてみた
水に抗するのではなくゆだねる 〜オランダに学ぶ気候変動適応1〜
オルトゥイス氏は「水は脅威ではない。チャンスだ」と言い切る。
彼の解決方法は「フローティング・ストラクチャー」。すでにアムステルダムには、運河の上に、フローティング・ハウス、フローティング・ヴィラが多数浮いている。
「耐久性、断熱性に優れ、高い質の居住空間になっている。いつでも家のすべての部屋から水の景色を楽しむことができる。そして、水面が上昇すれば、それに合わせて家も上昇する。だから洪水や海面上昇も関係ない」(オルトゥイス氏)
なぜ巨大な住宅が水に浮かぶのか。
たとえば多くの木は水に浮く。この性質を利用して丸木船や筏を水に浮かべ、人間は水の上を自由に移動できるようになった。
その後、船はめざましい発展をとげた。筏はボートになり、やがて大型帆船が世界の海を駆けめぐる大航海時代を経て、船の素材は鉄に変わり、近年では巨大タンカーも現われた。

船が水に浮いているということは、船の重量が水に支えられているということ。
ヒントを得ているという。


「海の木」の高さと深さは、設置する場所に応じて調整できる。 ケーブルで水底につなぎとめられ、水上部分は陸上生物や鳥のための、水中部分は水生生物の生息地となる。 デザインコストは100万ユーロほどだが、 水深、係留施設、建設現場から設置場所までの輸送に応じて変わる。
さらに2017年11月、欧州の17のパートナーで構成されるコンソーシアムが、モジュール式の島を開発するプロジェクトをスタートさせた。
フローティング・クルーズターミナルも考案されている。世界最大のクルーズ船3隻の同時係留を可能にする大きさだ。
だが、すでに水上に暮らす人々もいる。その人たちが生活する権利は保障されるのだろうか。
たとえば、カンボジアのトンレサップ湖とその周りの氾濫原には約120万人が暮らすが、そのうちの4分の1に当たる34万人が湖上に浮かぶ家に住んでいる。

ベトナムからの難民も多く、地上に住む場所がないために、ボートで暮らすという事情がある。湖上には商店や学校、病院などの公共施設もある。水上養豚場で豚を育てている家もある。電気はバッテリーを使い、このバッテリーを充電する商売もある。
集落は水上にあるため、住人は何をするにも基本ボートで移動する。学校に行くにも商店で買い物するにも、カラオケに行くにもボートに乗る。大きめの桶をボート代わりに巧みに湖上を移動する子どももいる。
彼らは湖の水位の変動に合わせて、年に3〜4回住居を移動させる。水位が1メートルほどになる乾期には湖の中心部に家があるが、雨期に水位が上昇すると湖岸近くに家を移す。水上集落の構成メンバーは変わらないが、好きな所に住んでよいので、お隣さんはいつも別人となる。
フローティング戦略は沿岸都市の新たな生活空間、気候変動適応策として非常に有効だ。これが水上不動産業というビジネスとして加速する可能性がある。このときトンレサップ湖のような既存の水上生活者と水上の権利をめぐって対立することがあるのではないか。
気候変動が進み、世界各地の低地が高潮や洪水被害に直面するようになると、水上の暮らしが一気に加速する可能性がある。国際的なルール、国レベルでの法律を早めに考える必要があるだろう。